冬の静寂に咲く花、水彩画の世界へようこそ!
日本には美しい四季があります。最近は温暖化のせいか、少しずつズレがあるような気もしますが花たちは知らん顔しています。だから季節到来となるとその見事な美しい容姿を私たちに見せてくれるんですね。
季節ごとの4シーズンの連作記事を書く予定ですがまず最初は冬です。冬は花が少ない季節といいますが、それでも寒さの中で咲く花々はたくさんあります。その姿は、冬の厳しい自然の中で懸命に生きる生命力を感じさせます。
今回は、そんな冬の花々の中から10種を選んで水彩画で表現してみました。繊細なタッチで描いた花の世界を、どうぞごゆっくりお楽しみください。
冬に咲く花~好みで選んだ10の花
冬に咲く花~ヒマラヤユキノシタ、ディモルフォセカ
- ヒマラヤユキノシタ
- Bergenia stracheyi
ヒマラヤユキノシタは、ヒマラヤ山脈を原産地とし、特にネパールやインド北部、中国南部などの高山地域に自生しています。これらの地域は寒冷で湿度が高く、ヒマラヤユキノシタが育つための理想的な環境です。
ヒマラヤユキノシタは、日本には比較的新しい植物であり、明治時代に園芸用として導入されたとされています。特に寒さに強く、美しい花を咲かせることから、日本の園芸愛好家たちによって広まりました。
雪の中で咲くヒマラヤユキノシタは、冬景色に華やかさを加える貴重な冬の彩です。
花には独特の甘い香りがあり、周囲を優しく包み込みます。
ヒマラヤユキノシタは、その美しさから日本でも人気があり、多くの庭や公園で見ることができます。ヒマラヤユキノシタの花言葉には、「秘めた感情」「順応」などがあります。
- ディモルフォセカ(アフリカキンセンカ)
- Dimorphotheca
ディモルフォセカ(アフリカキンセンカ)は、美しく魅力的な花で、以下のような特徴があります。
原産地は南アフリカ(南部ケープ地方)、主に黄色、オレンジ色、白色があり、花びらの根元が濃い青色になっているのが特徴的です。
ディモルフォセカの日本への具体的な渡来の経緯について探しましたが明確な記述は見つかりませんでした。
南アフリカ原産という点を手掛かりに類推すると、他の多くの外来園芸植物と同様に明治時代以降に園芸用として導入された可能性が高いと推測されます。
「元気」「豊富」「無邪気」「ほのかな喜び」「健やかな人」「富」などの前向きな花言葉を持っています
冬に咲く花~水仙、シクラメン
- 水仙(ニホンズイセン、フサザキスイセン、雪中花)
- Narcissus
- daffodil(英)
Narcissus(ナルキッソス)は「ナルシスト」の語源です。
ナルシスト=自己愛ですが、ギリシア神話に登場する美少年ナルキッソスが由来しています。なので花言葉は自己愛のほかに報われない恋」、「うぬぼれ」となっています。
水仙は美しく凛とした姿が特徴的な花で、冬から早春にかけて咲く人気の花です。
漢字で書くと「日本水仙」なので名前だけ見ると、日本原産のように見えますが、NOですね。水仙は中国から日本に渡ってきた植物です。水仙という名はもともと中国語ですね。
「仙人は、天にあるものは天仙、地にあるものは地仙、水にあるものは水仙」という古典が由来して水仙という名になったそうです。
でも水仙の原産地は中国ではなくスペインから北アフリカや地中海沿岸部とされています。
水仙が日本に渡来したのは平安時代の末期で、シルクロードを経て中国に伝わった原種が、海流に乗って日本の海岸沿いに漂着したという説が有力です。
水仙は1000を超える品種があり、お正月に飾ると縁起が良いとされています。
冬の寒い時期に咲く水仙は、春の訪れを告げる花としても親しまれています。
- シクラメン(カガリビバナ、ブタノマンジュウ)
- Cyclamen(英)
シクラメンは冬の花の代表格です。その特徴や日本への渡来について調べてみました。
原産地は西南アジアです。
シクラメンの日本への具体的な渡来時期は明確ではありませんが、西洋の園芸植物として明治時代以降に導入されたと考えられています。その後、日本の気候に適応し、冬の花として広く普及しました。
主に赤、白、紫色、ピンクがあり、品種改良によりグラデーションや多弁咲きのものも開発されています。花の少ない冬季(11月~2月)に鮮やかな花を咲かせ、室内を明るく彩ります。まさに「冬の花のクイーン」といえます。
優雅な花の形: 反り返った花びらが特徴的で、優雅さと可憐さを兼ね備えています。
シクラメンは、その優雅な姿と冬の寒さに負けない強さを併せ持つ花として、多くの人々に愛されています。控えめな美しさと力強さのコントラストが、シクラメンの大きな魅力となっています。
品種によっては甘い香りを楽しめます。
花言葉の魅力は「遠慮」「気後れ」「内気」「はにかみ」といった控えめな印象の花言葉を持ち、その姿と相まって奥ゆかしい魅力があります。
贈り物としての適性: 誕生花や冬のギフトとして人気があります。
冬に咲く花~クリスマスローズ、梅の花
- クリスマスローズ(ガーデン・ハイブリッド、レンテンローズ、ヘレボルス・ヒブリドゥス)
- Helleborus(英)
クリスマスローズは、その優雅な姿と冬の厳しい環境に耐える強さを併せ持つ花として、多くの人々に愛されています。
多様な花の形や色、長い観賞期間、そして育てやすさなど、様々な魅力を持つ植物です。
原産地はヨーロッパから西アジアにかけての地域になります。
主に12月から3月にかけて咲きます。品種によっては4月まで咲く場合もあります。
花びらと思われる部分は実際にはガクです。ひと重咲き、八重咲き、半八重咲き、アネモネ咲きなど、多様な咲き方があります。
花色も多種で白、ピンク、赤、紫、黄色など、様々なものがあります。
渡来の経緯は明治時代の初期に日本に渡来しました。当初は「寒芍薬(かんしゃくやく)」という和名で知られ、茶花として楽しまれていました。
花言葉は「私を忘れないで」「慰め」「私の不安を和らげて」など印象的なものがあります。
- 梅
- Chinese plum、Japanese apricot(英)
梅の花は日本の春を告げる象徴的な花の一つで、その特徴、渡来の経緯、魅力について以下にまとめます。
品種によって果実を利用するときは「実梅」として食用になります。
樹木全体と花は鑑賞用になり花梅として大昔より花見とか梅まつりが開かれる梅林や梅園が各地にあります。
えだや樹皮は染料になります。
一般的に5枚の花びらを持ち、白色や淡いピンク色、濃いピンク色などがあります。
梅は中国原産で、朝鮮半島を経由して日本に渡来したと考えられています。
しかし、具体的な渡来時期は明確ではありません。弥生時代の遺跡から梅に関する遺物が発掘されていることから、九州周辺では自生していた可能性も示唆されています。奈良時代には確実に日本で栽培されていたとされ、万葉集に100を超える梅の歌が詠まれています。
花言葉は 「不屈の精神」「高潔」などの花言葉を持ち、その凛とした姿に由来しています
冬に咲く花~マンサク、サザンカ(山茶花)
- マンサク(満作、万作、ハマメリス)
- Hamamelis
マンサクは日本の冬から早春にかけて咲く魅力的な花で、以下のような特徴があります。
原産地は日本で固有種になります。本州の太平洋側から九州の山林に自生しています。
主に2月から3月にかけて咲きます。他の植物に先駆けて花を咲かせることが特徴です。花径は3-4cmで、黄色い細長い花弁が特徴的です。花弁は長さ10-15mm、幅2mmほどのひも状でねじれています。葉には特徴があり、葉の形が左右非対称で不整なことから、「カタソゲ(片削げ)」という俗名もあります。
寒い季節にいち早く咲き、春の訪れを告げる花として親しまれています。
細長くねじれた黄色い花弁が特徴的で、独特の美しさがあります。 ほのかな芳香があり、冬の庭を華やかに彩ります。
秋には美しく紅葉し、紅葉の枝ものとしても利用されます。
マンサクの花言葉には以下のようなものがあります。
「ひらめき」「神秘」「幸福の再来」
これらの花言葉は、マンサクの特徴的な花の形状や、早春に咲く性質、そして古くから親しまれてきた歴史に由来しています。
マンサクは、その独特の花の形状と早春に咲く性質から、日本人に古くから愛されている花の一つです。
冬の終わりを告げる重要な植物として、今でも多くの人々に親しまれています。
- サザンカ(山茶花)
- Camellia
余談ですが、母から大昔に「山茶花究」という芸名の俳優さんがいたそうです。「3×3=9」なんておしゃれですよね。
サザンカは日本の冬を彩る美しい花で、以下のような特徴や魅力があります。つい中国と間違えることがありますが実はこの花、日本原産の常緑広葉樹です。昔から四国、九州、沖縄の山野に自生している花なんですね。
花径は5〜8cmにもなり大きな花をつけます。花色も白、ピンク、赤など、様々な色があります。
花に近づくとジャスミンのような甘い香りがします。
よく椿と山茶花の違いを聞かれますが、サザンカは花弁が1枚ずつ散るのに対し、ツバキは花全体がポトッと落ちます。
この落ちる姿が斬首に似ていることから「武士」には嫌われました。
さらにサザンカはツバキより早く、晩秋から冬にかけて咲きます。
サザンカの花言葉には以下のようなものがあります「控えめな愛」「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」「清純」。これらの花言葉は、冬の厳しい環境の中で咲くサザンカの姿から来ているとされています。サザンカは、その美しさ、香り、そして冬の寒さに負けない強さから、日本人に古くから愛されている花の一つです。冬の庭を彩る重要な植物として、今でも多くの人々に親しまれています。
冬に咲く花~ハボタン、ポインセチア
- ハボタン(葉牡丹、葉ボタン)
- flowering kale(英)
ハボタンの特徴を紹介します。
分類的にはアブラナ科アブラナ属の2年草または多年草です。
原産地は地中海沿岸が原産で、草丈は5〜100cmになります。
葉が同心円状につき、周縁部は緑色で中心にかけて紫や白、ピンクなどの色彩を持ちます。およそ3〜5月頃に黄色い小さな花を咲かせます。
日本には江戸時代に食用として渡来しました。ケール(ハボタンの原種)の渡来時期は鎌倉時代中期あるいは江戸時代前期と推定されています。
1709年出版の「大和本草」に記載された「紅夷菘(オランダナ)」がケールではないかと言われています。
1717年の「諸禽万益集」に「葉牡丹」の名が初めて登場します。
日本を中心に品種改良が進み、様々な系統(東京丸葉系、縮緬系、大阪丸葉系など)があります。
ハボタンは冬から春にかけて葉の美しさを楽しめ、春には黄色い花も楽しめるご長寿の花ですね。
さらにさらに、2年目以降は「踊りハボタン」として楽しむこともできるんですよ。
ハボタンの花言葉は以下の通りです:「祝福」「愛を包む」これらの花言葉は、ハボタンがお正月の飾りとして使われてきた歴史や、葉が幾重にも重なる姿から来ているとされています。ハボタンは、その美しい葉の色彩と冬の寒さに負けない強さから、日本の冬の風物詩として親しまれている植物です。
- ポインセチア(ショウジョウボク)(猩々木)
- poinsettia(英)
ポインセチアは分類上はトウダイグサ科の常緑低木です。
原産地はメキシコと中央アメリカで、葉は薄く、楕円形です。
一般に花と見られる赤い部分は実は苞(ほう)と呼ばれる葉です。本当の花は苞の中心にある小さな黄色い部分です。毎年11月から2月頃に苞が色づきます。短日植物で、日が短くなると花芽ができます。
1828年にアメリカの外交官J・R・ポインセットがメキシコで発見し、アメリカに持ち帰りました。紹介されたのは1829年にアメリカで園芸作物として紹介されました。
日本には明治時代に渡来しています。
いまやクリスマスシーズンを彩る代表的な植物になっていますね。
ハボタン同様、管理をしっかりすれば長期間美しい姿を楽しめます。
室内観賞植物として、また鉢植えとして室内で育てやすく、冬の室内を華やかに彩ります。
ポインセチアの花言葉には以下のようなものがあります。
「祝福」「清純」「幸運を祈る」「私の心は燃えている」。
これらの花言葉は、ポインセチアがクリスマスの時期に咲く花であることや、その鮮やかな赤色から来ているとされています。
ポインセチアは、冬の季節を象徴する植物として世界中で愛されています。室内装飾や贈り物としても広く親しまれています。
椿と鹿の額絵
冬に咲く椿は、その美しい花と耐寒性から、多くの人々に愛されています。
特に寒椿やユキツバキは、冬の寂しい景色を華やかに彩る存在であり、庭や公園で見ることができる貴重な植物です。
これらの椿を育てることで、冬でも生き生きとした風景を楽しむことができます。
冬の花壇を美しく彩る花は数多くあります。寒い季節でも咲く花を植えることで、冬の庭に彩りと生命力を与えることができます。
冬に咲く花の種類~まとめ
以下に、冬に咲く代表的な花をいくつか紹介します。前半で紹介漏れした花が中心です。
- パンジー(ビオラ)
寒さに強く、冬の間中花を咲かせ続けます。様々な色があり、花壇や鉢植えに最適です。 - シクラメン
寒さに強く、冬から春にかけて美しい花を咲かせます。日陰でも育つため、木の下や日陰の花壇に適しています。 - クリスマスローズ(ヘレボルス)
1月から3月にかけて大きな白い花を咲かせます。日陰に強く、長期間花が楽しめます。 - スノードロップ
雪解けとともに咲く小さな白い花で、1月から3月に開花します。木の下や低木の下に植えると良いでしょう。 - 冬咲きジャスミン
11月から3月にかけて明るい黄色の花を咲かせます。つる性の植物で、壁や柵に這わせて育てると効果的です。 - ダフネ(ジンチョウゲ)
2月から3月にかけて、香りの良い淡いピンクや白の花を咲かせます。小さな庭や鉢植えにも適しています。
植え方と管理のポイント
- 排水性の良い土壌:多くの冬咲きの花は、水はけの良い土壌を好みます。
- 適切な日光:パンジーなどは日向を好みますが、シクラメンやクリスマスローズは部分的な日陰を好みます。
- 定期的な手入れ:枯れた花を取り除くことで、より長く開花を楽しめます。
- 寒さ対策:極端な寒さから守るために、必要に応じて株元にマルチングを施します。
冬の花壇は、適切な植物選びと管理によって、美しく生き生きとした空間に変えることができます。
これらの花を組み合わせることで、冬の間中、色とりどりの花を楽しむことができます。
また、多くの冬咲きの花は、早春の訪れを告げる役割も果たします。寒い季節でも、庭に生命力と希望をもたらすこれら冬咲きの花を植えてみてはいかがでしょうか。
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