みなさんいかがお過ごしですか?
ゴルフは観てますか?プレーしてますか?筆者は骨の髄までハマっています。
「ゴルフという病に効く薬はない」by 黒鉄ヒロシ
今日は読んでも上達はしませんが、ゴルフが好きなら面白いトリヴィアが登場します。テーマは「ゴルフルール」。ゴルフルールって難しいのよね、ちょっと苦手なんていわないでください。
世界最古のゴルフルールは本当に面白い話です。
ゴルフルールっていつどこの国でどうやって決まったのかな?ゴルフファンならどなたでも気になるところです。最後に今年の日本女子プロテストでとんでもない新人が現れた話題もお届けします。
早速行ってみましょう。
ゴルフルールは280年前に作られた~現在のR&Aが創案
皆さんはゴルフルールといえばどんなことを思い出しますか?筆者は2019年1月1日に大きく舵を切ったR&AとUSGAのことですね。
通常は4年に一度のゴルフルール改正を1年前倒しまでして実施しました。簡素化すること、もっと初心者に優しくして入り口のハードルを下げようという意図がありました。
今回は今から遡ること約280年前に作られた、「13ヶ条のゴルフルール」のトリヴィアです。
ゴルフルールがなくても楽しんだスコットランドのゴルファーたち
ルールのルーツを辿ると、ゴルフのルーツそのものに触れることができます。
ゴルフは悠久の歴史があります。昔々、ゴルフを楽しんでいた先人たちはワンショットのウイスキーをかけていたので、今度の賭けはこうしようとかああしようなんて話し合っていました。
楽しかったでしょうね。
ルールなんて堅苦しいものはヌキ。そんなアバウトゴルフの中で生まれたのがHDCP(ハンディキャップ)なんでしょうね。
賭けを面白くするために「こうしたらどうだい」とか「あそこはこうするべきだ」なんて話し合いながらも、ごく自然にちゃんとした決め事、つまりルールの必要性は感じていたかもしれません。
「13ヶ条のゴルフルール」さえない時代、規則に関係なく無邪気に遊んでいた大人たちの様子を想像するとなんだかワクワクしてきます。
ゴルフルールを最初に作ったセント・アンドリューズの人たち
現代のゴルファーにとって、ゴルフルールがなかったといえばキョトンですよね。それ以前のゴルフスタイルは一体どんな風だったんでしょうね。逆に興味が湧きます。
ゴルフの故郷といわれるスコットランドに位置し、ゴルフの聖地といわれる「セント・アンドリューズ」にタイムスリップ!
セント・アンドリューズ(St Andrews)は、スコットランドのなかでも北東寄りで北海に面した場所にあります。
地名の由来はキリスト教12使徒にスコットランドの守護聖人である「セント・アンドレ」に因んだのではないかという説は有力です。早くから発展したようで、6世紀にはカルディー修道院が作られました。
16世紀ころには港湾都市として栄え14,000人に及ぶ人口を抱えた町でしたが、宗教対立からスコットランドとイングランドのあいだで内戦がおこり、街は見るも無残に破壊され以後廃(すた)れていきます。
その荒れ果てた街を再興させたのは、ご当地に1410年以来存在したスコットランド最古の大学と「ゴルフ」人気でした。
全くないわけではなかったゴルフの決め事
ルールがなくてもプレーに差しさわりがなかったのはいくつかの理由があります。
・現代のようなストロークプレーはほとんど行われていませんでした。ほぼすべてがマッチプレーが当たり前の時代でしたからね。
ホールマッチですからスコアは必要なく、ワイシャツの袖を折り返しそこへ鉛筆で〇×(勝ったホール負けたホール)を記録していました。
・ルールというより決め事は今の時代の麻雀のようなもの、裏ドラは?一発は?ノーテン罰符は?などスタート直前にパタパタっと決めればすぐゴルフがはじまりました。(麻雀をご存じない方ゴメンナサイ)
・基本的には「あるがまま」、そうできないときはほとんど相手の勝ちと決めていたようです。とにかく気心の知れた者同士の私的な少人数の遊びだったんですね。
そんなわけで小難しい規則を決める必要もなく、想定外のトラブルが起こるたびにお互いが話し合って処理しているうちにそれが前例になっていきます。とにかくいまほど厳密ではなく柔軟なゴルフだったのでしょうね。
ゴルフ場ではなくそこは町の公園の中だったので…
海岸線に沿って作られた自然の地形を利用した砂地のコースを”リンクス”といいます。リンクスはイギリス発祥のゴルフの原型であり、風や砂地、荒れた芝などが特徴です。リンクスコースは風の影響を受けやすいため、ゴルフの本質を味わえるという特徴があります。
まさにこれぞリンクス、それがセント・アンドリューズ・オールドコースです。
300年近い昔、まだゴルフコースになる前のこの地はだれでも自由に立ち入って良いという国王の許しがあったパブリック・スペース(公園)でした。
海岸が近く肥沃な土地はどこまでも続く広い芝生広場でした。そこへ誰でも自由に出入りができるとなると町の主婦たちも、土地の中を流れる数本のクリーク(小川)に洗濯に来ます。彼女たちは洗った洗濯物を芝生の上に広げて干します。
「ファ~~~!」、ボールがそっちに行ったぞ~と大声が聞こえてきます。洗濯する女性たちの周囲はゴルファーが行ったり来たり。
ボールは今のように固くないフェザリー系でしたから、当たっても大ケガにはなりません。問題はゴルファーたちの暗黙のルール「あるがまま」にでした。
干してあるシーツやシャツの上にボールがあっても、あるがまま打ってしまいます。これでは女性たちと諍(いさかい)いが絶えません。
でも考えてみればのんびりと時間が過ぎていったんですね。
では1744年の13条のルールが決まるいきさつや、それ以前のトリヴィアに触れていきましょう。
ルールを決めざるを得ない事情が勃発!
どうしてもルールを決めないとならない状況が巡って来ました。それは1744年、エジンバラ市がアマチュアゴルフ選手権大会を企画したのがすべての引き金でした。
市が銀製のクラブを優勝者に渡すというので、町の人たちは「第一回、シルバークラブ選手権」と銘打って大騒ぎになります。
これまで明文化されていなかったルールも、たくさん選手が一堂に集まるとなると全員に共通する決まりが必要だということになります。
ついに歴史始まって以来の13か条が創案されました。
これを正式に成文化したのが「オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ(R&Aの前身、今のセント・アンドリュース・ゴルフ倶楽部)」。
彼らは町ではリースのジェントルメン・ゴルファーズと呼ばれていました。
13ヶ条のルールを解説
さて、どんな規則だったんでしょうね。その規則の中身から当時のゴルフの様子が映画のように浮かび上がります。
以下に13条の条文を並べてみましょう。
⛳ 第1条
「ボールをティアップする場合、ホールからワンクラブ以内で行うこと」
つまりティ―イングエリアもグリーンもなかったんですね。
ボールをホールアウトしたら、そのカップから1クラブ離れた場所からティーアップせよということです。
現代はホールから次のティーまでずいぶん遠いところもありますが、これは手っ取り早い!まぁ今のような手入れが行き届いたグリーンではなかったからできたことですね。
⛳ 第2条
「ティアップは必ず地面上で行うこと」
ティーアップって?当時はティーなどありませんでしたよね。
実はティーとは砂で作った小さな山でした。
その砂はどこから持ってくるのかというと今パットを沈めたばかりのカップに手を突っ込んで、底の砂をさらってくるというのが習慣になっていました。
それにこんなことを決めるなんて、地面以外にボールを置いた輩がいたんでしょうね。
このことがカップの淵を壊して穴を大きくするため、後にどなたかがホールカッターというものを考案してパイプを埋めることになります。
⛳ 第3条
「ひとたび打ってしまったら、他のボールと交換することを禁止する」
当時はフェザリーボールといって、革袋にぎゅうぎゅうに羽毛を詰めて縫い合わせたものですからね、きっと頻繁に壊れたのではないかと想像できます。
でも交換できないときはどうカウントしたんでしょうね?壊れたままプレー続行?
⛳ 第4条
「ボールからワンクラブ以内の石や骨以外は取り除けない」
実際は「フェアグリーン上でワンクラブ以内」と書いてあって、このフェアグリーンがどこを指すのかよく分かりません。
きっとなんとなく芝が短いとか、刈りこんだ部分のことではないかと思いますね。フェアウエイとは違います。
骨というのもすごいのですが、今でいうルース・インペディメントの始まりと解釈できそうです。それにしてもそれ以外の場所では石も骨も動かせなかったということなんですね!
当時のクラブは高価でしたからね、厳しいルールですが大原則の「あるがまま」が優先したということです。
⛳ 第5条
「ボールが水中やじめじめした汚物に入った場合、1打を相手に献上してからボールをピックアップして後方にドロップできる」
これも面白いルールです。フツーに考えれば池とか小川、それに現在のカジュアルウオーター(水たまり)ですね。
それに加えて牛や馬などが同じ場所にいましたからね、きっとフンなどのことを言っているのだと判断できます。
⛳ 第6条
「ボール同士がくっついてしまったとき、後方にあるボールのプレーが済むまで一方のボールは拾い上げてよし」
⛳ 第7条
「パッテングはホールに真っすぐ打つこと。ライン上にない相手のボールを利用してはならない」
⛳ 第12条
「ホールに対して最も遠い者からプレーすること」
みっつの条文を並べましたが、少しずつ関連があります。
第6条は読んだ通り。
第7条は当時のマッチプレーの紳士的ではないプレーを禁止したものです。
ボール同士が離れていると、まるでビリヤードのように相手のボールに当てて自分のボールを優位な位置に運び、相手側のボールをピンから遠ざける”ワザ”がもてはやされました。これはよろしくないという意味です。
第12条は今のようにボールをマークすることがなかった時代の特殊な決まりです。
カップの手前に相手のボールがあっても除去(マーク)してもらうことはできません。したがってそのボールを飛び越えて打つ「技術」も学んだようです。こちらもビリヤード的ですね。
上手く打たないと相手のボールがカップに入って自分のボールが入らない、”オウンゴール”もあったはずです。グリーンに乗ったからってボールを拾って拭いたりできなかった時代なんですね。
⛳ 第8条
「ボールが持ち去られたり別な理由で紛失した場合、 最後にプレーした場所に戻ってドロップすること。ただし相手に一打の優位を与える」
ボールを探す時間制限もなく、暫定球もなかった時代なんですね。どんな雰囲気で探したんでしょうね。
⛳ 第9条
「ボールをホールに入れるとき、クラブその他のモノで目印を置くべからず」
⛳ 第10条
「人間、馬、犬などによってボールが止められた場合、すべてあるがままの状態でプレーすること 」
⛳ 第11条
「ストロークの際の一連の動作の中で、いかなる理由でもクラブの損傷があった場合すべてワンストロークとする」
やっと今に通じるルールが出てきましたね。ほとんど変わりがありません。
現代でもアライメントに関しては、特別なモノ(目印)は禁止です。ルース・インペディメントなどのスパットは認められています。
馬や牛って変だと思いますか?先ほども洗濯する女性たちが出てきましたが、そもそもゴルフ場ではないからですね。というかむしろ主婦や牧場で飼育される動物たちが優先していたからです。
それにしても、馬のお尻近くのボールを打つのは勇気が要るでしょうね。
⛳ 第13条
「ゴルフコース保護のために設けられた掘割、排水溝、水路、子供が作ったトンネル、巣穴、兵隊用の塹壕(ざんごう)はハザードではない。これらに入ったボールは拾い上げてティアップし、アイアンクラブでプレーすべし」
最後のアイアンクラブでというのはよく意味が分かりませんね。ウッドではだめということかな?
とにかく無罰で出してよいという現在の「動かせない障害物」的な意味だと考えられます。
この条文に並べられた巣穴とか子供の作ったトンネルなどは、まさに現代の公園と同じだったことがわかります。ちなみに兵隊さんが掘った塹壕も英語で「ハザード」といいます。
世界最古~13ヶ条のゴルフルールのまとめ
その後の1842年、シーツに乗っかってしまったボールは「ボールを動かすことなくシーツを引っ張って良い」というルールができます。でもそんなことマジシャンでなくてもできたのかなぁ?
ちなみにこのルールは1858年、無罰でドロップできるように改正されました。
それにしても、たった13項目の決まりがあれば遊べた時代っていいですね~。
このルールの成文化から10年を経た1754年、セントアンドリュースでそのまま使われ、現在のルールの元となりました。
紆余曲折はあったものの、1984年のルール全面改正で3章と34条に及ぶルールが出来上がり、R&Aの発表と同時に世界基準となりました。
今回ご紹介した13条のルール、いかがでしたか?
現代のゴルフルールは、なんとなくペナルティを与えるためのものと受け取る方もいます。大昔のゴルフはプレーヤーを罰するためにつくられたものではなく、公平にやろうよという息吹があります。規則にないケースでは、自らに厳しく罰していたからゴルフが成立したのです。
「ゴルファーはすべて真っ正直」ではなくなるごとに、条文がどんどん増えてしまうことになるんでしょうね。
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