さぁ始まりました「雑学小辞典」、スタートは「米」です。
このブログではごく一般的な現代社会で気になる事象や単語(あるいはトレンド的なもの)をトコトン深堀し、まるでクイズのヒントや回答のように散りばめてみようという試みです。
料理家であり陶芸家でもあった北王子魯山人は、「一番うまい食べ物は米だ」といいました。米は日本人にとっては主食でありその品質は世界の中でも群を抜いています。
でも「減反てナニ?」、「一等米って?」、そもそも「お米っていつ頃から作られているの?」などなど、身近すぎてわかっているようで知らないことがたくさんあります。
折しも、『令和の米騒動』という言葉が世間を騒がせています。背景には何があるんでしょうね。語り尽きない「米」に関する雑学の始まり、はじまり~!
お米は日本の文化~インバウンドも興味津々
お米、それは日本の食文化の心臓部!お寿司やおにぎり、これらのシンプルながらも絶妙なお米の使い方は、世界中の食通たちを魅了して止みません。
さて、2024年の今、日本を訪れるインバウンド(海外からの観光客)たちの間で、なぜこれらがこんなにも人気なのか?それは、お米のもつ無限の可能性と、日本の食文化の深い魅力に他ならないのです。
まずは、お寿司。新鮮な魚介とお米のハーモニーは、まさに芸術作品。インバウンドの皆さんも、その色とりどりの美しさと味わいの深さに心を奪われること間違いなし。そして、おにぎり。手のひらサイズの幸せを、海苔の包みでぎゅっと凝縮したこの食べ物は、忙しい観光の合間にもピッタリのスナックなのです。
しかし、ここで重要なのは、ただお米を食べるだけではない。それをどう楽しむかがカギを握る。例えば、寿司屋での一皿一皿に込められた職人の技、あるいはおにぎり一つ一つに感じる家庭の温もり。これらは、ただの食事以上のものをインバウンドの皆さんに提供しているのです。
このお米ブームをどう楽しむか?答えは簡単。日本に来たら、ぜひともお寿司やおにぎりを味わってみてほしい。そして、その背後にある文化や歴史、人々の暖かさに触れてみてほしい。そうすれば、きっとお米の新たな魅力に気づくはずです。
お米を通じて、日本の文化をもっと深く知る。それが、インバウンドに人気の理由なのかもしれない。お米、それはただの主食ではなく、文化そのものなのだから。
日本の米作りの歴史、まず弥生時代にタイムトラベルしましょう。
その稲作の始まりはただの農業の始まりではなく一種の革命でした。
なぜなら、それまでの狩猟や採集の生活から、定住して土地を耕し、食料を栽培する生活へと大きく変わったからです。当時の人々にはマニュアルがありません。当時の農業者には、土地を耕し、水路を作り、稲を植えるための道具が必要でした。そして、その道具を作るための道具も必要でした。つまり、彼らはDIYの達人だったのです。
稲作が始まった理由は食糧難だと考えられています。人口が増え、気候が変わり、狩猟や採集だけでは食べていけなくなった人々が、より確実な食料源を求めて稲作を始めたのです。
幸い日本の高温多湿な気候は稲作に最適でした。
その後、平安時代にはご飯は上流階級の人々だけが食べることができる「高級食材」でした。一般の人々は、米を節約し「特別な日のごちそう」だったのです。
日本の米作りの歴史、それは、食料を確保するための知恵や努力、そして食文化の進化の物語です。そして何より、お米一粒に込められた、数千年にわたる人々の生活と歴史を感じることができるのです。お米は日本の歴史そのものなのです。
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる
★秋が訪れたことは稲の実りを風が伝える。
藤原定家(ふじわらのていか)
秋風に たなびく雲の たえ間より もれ出づる月の 影のさやけさ
★秋風が吹く中で稲の収穫期に感じる月光の澄んだ美しさ。
在原業平(ありわらのなりひら)
ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは
★龍田川の紅葉が稲の収穫と結びつけられ、豊かな秋の季節感を感じさせる。
西行(さいぎょう)
田の面に 秋風ぞ吹く 色づきて 穂に出づる稲に 風渡るなり
★秋風が田の表面を吹き渡り、色づき始めた稲穂を揺らしている情景を描写。
俊成(しゅんぜい)
いかにして 年をも果たさむ 秋風の 吹き寄せたる 穂に出づる稲
★秋風に吹かれて実り始めた稲を見て、歳月の流れを感じる。
松尾芭蕉(まつおばしょう)
稲妻や もの言ふ稲の ひそひそと
★稲妻が光る中、稲がささやくように揺れている情景を描いた俳句。
小林一茶(こばやしいっさ)
わしゃ稲の くきとぞ思ふ 朝の露
★自らを稲の茎に例え、露のように儚い命を感じる歌。
与謝蕪村(よさぶそん)
稲の香や 月見のための 月遠く
★稲の香が漂う中で月を眺める風景を詠む。
高浜虚子(たかはまきょし)
豊作の 稲刈り終えて 日の静か
★豊作を迎え、稲刈りが終わった静かな日常を詠む。
コシヒカリ: 日本を代表する品種で、全国的に広く栽培されています。
あきたこまち: 東北地方を中心に栽培されており、粘り気が強く、冷めても美味しいのが特徴です。
ヒノヒカリ: 西日本を中心に栽培されており、高温に強く、食味も優れています。
キヌヒカリ: 関東地方を中心に栽培されており、粒が大きく、ふっくらとした食感が特徴です。
ななつぼし: 北海道を中心に栽培されており、冷涼な気候で育つ品種です。
食味ランキングで高評価の品種
はえぬき: 山形県で栽培されており、食味ランキングで高い評価を得ています。
つや姫: 山形県で栽培されており、コシヒカリに似た食味が特徴です。
夢つくし: 福岡県で栽培されており、甘みが強く、香りが良いのが特徴です。
ミルキークイーン: 新潟県で栽培されており、粒が大きく、食感が良いのが特徴です。
お米の一等米とは、品質が最も優れているお米を指します。
一等米は、農林水産省による厳しい基準をクリアした玄米の中で、外観や品質が最高ランクに評価されたものです。
具体的には、整粒値が70%以上、水分量が15%程度で、死米、着色粒、もみなどの異種穀粒、異物の含有率が基準以下であることが求められます。
これらの基準により、一等米は見た目にも美しく、食味が良いとされていますが、味の指標ではないため、実際の味は品種や産地によって異なります。
一等米は、その年の収穫されたお米の中で、品質が良いと認められたものに与えられる称号であり、消費者にとっては品質の保証となります。
日本は伝統的にお米の生産に力を入れており、国内消費に対応するための自給率も高いです。
しかし、国際市場における動向も注目されています。最新の統計によると、日本のお米の輸出量は年々増加傾向にあります。
特に、高品質な日本米は海外での需要が高く、日本食の人気とともに輸出量が伸びています。
一方で、輸入量は比較的安定しており、主に最低限の市場アクセス量を満たすために輸入されています。
詳細な数値や月別、年別の統計は、農林水産省の公式ウェブサイトで公開されており、最新の輸出入の実績を確認することができます。
日本のお米の輸入量と輸出量についての詳細な情報は、農林水産省の統計データをご覧になることをお勧めします。
これにより、日本のお米市場の現状と将来の動向についての理解を深めることができます。
農林水産省のホームページ
https://www.maff.go.jp/
日本の米の種類というとジャポニカ米(コシヒカリやあきたこまちなど)、そしてインディカ米がありますね。それぞれにユニークな特徴があります。
ジャポニカ米は、日本で最も一般的に食べられている米の種類で、丸みを帯びた楕円形が特徴です。熱を加えると粘り気が出るので、お寿司やおにぎりに最適です。
コシヒカリやあきたこまちは、このジャポニカ種の中でも特に人気のある品種で、その甘みと粘りが多くの人々に愛されています。
一方、インディカ米は、細長い形状が特徴で、粘り気が少なく炊き上がりがパラパラとしています。
タイ米やジャスミンライスとしても知られ、スパイシーな料理やカレーとの相性が抜群です。世界のコメ生産量の大部分を占めており、高温多湿な地域での栽培に適しています。
日本の米は、その種類によって炊き方も異なります。ジャポニカ米は、お米を研いでから水を加え、強火で炊き上げる「炊き干し法」が一般的です。これにより、もっちりとした粘りや甘みが引き出されます。対照的に、インディカ米は「湯取り法」で炊かれることが多く、お米をたっぷりの沸騰したお湯でゆでることで、パラパラとした食感になります。
日本の米の多様性は、日本人の食卓を豊かにしており、それぞれの米が持つ独特の特徴は、日本の食文化を形作る重要な要素の一つです。
お米を使った日本の伝統的な料理には、お粥(おかゆ)、おじや、お餅があります。
これらはそれぞれ独特の特徴と調理方法を持っています。
お粥は、お米をたっぷりの水で煮て柔らかくした食べ物です。通常、風邪をひいたときや消化を助ける必要があるときに食べられます。
お粥は、水分量によって名前が変わり、例えばお米と水の割合が1対5だと全粥、1対7だと七分粥と呼ばれます。
おじやは、炊いたご飯を再び煮込んで作る料理で、おかゆよりも少し固めの食感が特徴です。
味付けには醤油や味噌、鍋料理の残り汁などを使い、具材として野菜や肉、魚などを加えることが多いです。
おじやは、雑炊と似ていますが、雑炊はご飯を水洗いしてから煮込むことでサラッとした仕上がりになるのに対し、おじやはご飯を洗わずに使うことでとろりとした食感になります。
お餅は、お米を蒸してから搗(つ)いて作る食べ物で、新年を祝う行事や特別な日に食べられることが多いです。お餅はそのまま食べるほか、焼いて食べたりします。
これらの料理は、日本の食文化の中で大切な位置を占めており、日本人の生活に密接に関わっています。どれもお米の美味しさを引き出す素晴らしい料理です。おっと!忘れるところでした。私の好きな焼きおにぎり。下の画像のようにお醤油をつけて軽く焼き上げるだけです。食べたくなった~~~ぁ。
備蓄米とは、政府が国民の食料安全保障を目的として備蓄している米のことです。
日本政府は、大凶作や連続する不作などの緊急時にも米を安定供給できるように、約100万トンの米を備蓄しています。
この量は、10年に1度の大凶作や2年連続の不作にも対応できる水準とされています。
備蓄米の管理は農林水産省が行い、米の品質を保つための適切な保管方法やローテーションが定められています。
また、備蓄米は必要に応じて無償で提供されることもあり、例えば食育の推進を目的とした子ども宅食支援団体への交付などが行われています。
備蓄米制度は、食料自給率の向上、農業生産の安定化、そして国民の食の安全を守るための重要な施策の一つです。
特に災害時や緊急時における食料供給の確保は、国民生活の安定に直結するため、備蓄米は非常に重要な役割を果たしています。
減反政策とは、日本における米の生産調整を目的とした農業政策です。
具体的には、米の生産過剰を防ぐために、国が農家に対して作付面積の削減を要求し、代わりに麦や大豆など他の作物への転作を支援する補助金を提供する政策を指します。
この政策は1970年頃から始まり、2018年に廃止されました。減反政策の廃止は、農家が自身の判断で生産量を増やせるようになり、米の生産量が需要を上回る「米余り」の状態が生じる可能性があります。
この政策の変更は、農家にとって新たな戦略的な農業経営を求めるものであり、多品種の栽培や付加価値を付けた米の生産など、多様な取り組みが必要とされています。
雑学小辞典~お米は日本そのもの~まとめ
日本のお米は深い文化的・歴史的な背景を持つ食文化の中心的存在です。
お米は、日本人の生活と切り離せない存在であり、古くから現代に至るまで、食卓、祭事、経済、地域社会など、あらゆる側面に大きな影響を与えてきました。
お米は、単なる食材ではなく、日本人の精神や文化にも大きな影響を与えてきました。新米の収穫を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」は、日本の皇室の重要な祭儀のひとつで、現在も毎年秋に行われています。また、稲は豊穣の象徴とされ、田植えや収穫の時期にはさまざまな地域で祭りが行われています。
和歌や俳句、伝統的な詩歌にも、稲作や稲穂、収穫にまつわるテーマが詠まれ、自然と調和した生活の一部として稲が描かれることが非常に多く見られます。稲穂の金色の輝きや、風にそよぐ稲田の風景は、日本の美的感覚にも深く根ざしています。
📳 米作りの未来と課題一方で、現代の米作りはさまざまな課題にも直面しています。農業の高齢化や後継者不足、消費者の食生活の変化に伴う米の消費量減少などが問題視されています。それでも、持続可能な農業を目指して、有機米や無農薬栽培への取り組みが広がりつつあり、次世代の農業技術も開発されています。
米作りに対する愛情や情熱は、世代を超えて受け継がれ、日本の食文化を支える大きな柱であり続けています。特に、稲作を中心とした地域コミュニティや祭りは、人々の絆を強め、地域経済の活性化にもつながっています。
最近大人気の「にじのきらめき」という新品種
「にじのきらめき」というお米は、まるで虹のように多彩な特性を持ち、その名前の通り、炊き上がりが美しい艶を放つ新品種です。
2018年に農研機構によって開発されたこのお米は、高温耐性に優れており、温暖化の影響を受けにくいという強みを持っています。
コシヒカリに匹敵する美味しさで、大粒で食べ応えがあり、もっちりとした食感と強い甘みが特徴です。
さらに、病気に強く、倒れにくい短い稲の丈を持つため、栽培がしやすいと農家さんからも好評です。新潟県産の「にじのきらめき」は、特におすすめで、スマート農業を活用して栽培されているため、農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えています。
このお米は、濃い味のおかずにも負けない強さを持っているので、おにぎりやお弁当にもぴったりです。 お米選びに迷ったら、「にじのきらめき」を試してみるのはいかがでしょうか。きっと、日々の食卓がカラフルに輝き出すはずですよ!
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