筆者がゴルフを習い始めたのはまさにバブルの絶頂期。幸いハンデ2の先輩の指導があって幸運でした。
ただし、最初の1年はコースに出していただけず、週1~2回の打ちっぱなし練習場と、そのあとの居酒屋での「ルールとマナー教室」が延々と続きました。
でもそのおかげでいまだに恥をかくことがなく今では感謝しています。
ゴルフがほかのスポーツと一線を画すとすれば、ベテランであろうとまだ始めたばかりの初心者であろうと、学んで実践すべきはルールとエチケットです。スコア以前にまずはティーイングエリアのルールとマナーを読んでおきましょう。
普段は仲間内でのゴルフが多いゴルファーはついつい正式なルールをスルーしがちですが、徐々に覚えましょう。特にティーイングエリアのエチケットを無視するとあなたは周囲から「NGゴルファー」というレッテルを貼られることになります。
ティーイングエリアの大事なルールとマナーを学ぶのだ!
ティーイングエリアは特別な場所で、ここからすべてが始まるところなのでタイガー・ウッズでさえ緊張するといっています。
ティーイングエリアは一人ずつ登場するため、ほかの同伴者やキャディさんに日ごろの練習の成果と自分の実力をお披露目する晴れ舞台、いわば「ワンマンショー」のステージなんですね。それも緊張する原因です。
必ず読んで身につけなければならないのがティーイングエリアのルールとマナー。ほかの方に対する配慮は日常と違うレベルで、ゴルフにはゴルフ特有の心遣いがあります。
まだ要領がつかめていない初心者の方の中には、ときどき「おやっ?」と思う行動があります。最初は仕方なくてもずっとそのままでは困ってしまいますからね、しっかり学んで身に着けてください。
✅ 今回はストロークプレーに限った解説です。マッチプレーに関しては触れていません。
ティーイングエリアとは?ゴルフ用語の解説
最初に「ティーイングエリア (teeing area)」とはどこのことか?
基本の18ホールのスタートをするために用意されたエリアまたはティアップ可能なエリアのことです。
ティーイングエリアはルールブックの中の「ジェネラルエリア」には含まれない場所で、① ルール、② マナー、③戦術(攻略法)の3点を考察しておく必要があります。
まずはティーイングエリアのルールについて簡潔に分かり易く解説しましょう。後半は関連するマナーについてを紹介します。
「ジェネラルエリア」とは、コース内のバンカー、グリーン、赤または黄色の杭で囲んであるペナルティエリア、アウトオブバウンズ(OB)を除いた全エリアを指す言葉です。フェアウェイもラフも林も分け隔てなくジェネラルエリアとなります。
ティーイングエリアに関する大事な6つのルール
ティーイングエリアには複数のティーマーカーが置かれています。通常はカラーの違いでバックティーとかレギュラーティー、あるいはレディースティーなどと呼ばれる「ティーセット」です。
たとえば青いティーマーカーで指定されたエリアから始めると、すべてのホールで「青いティー」をプレーし続けます。
ここには距離表示ボードが置かれ、その位置からのヤードエージが表示されます。したがってティーマークの位置によって加減する必要があります。
複数のティーセットがグループ化された領域を「ティーボックス」と呼びます。つまり、ティーボックスはティーイングエリアのグループで非公式のゴルフ用語なのよ。「ティーイングエリア」はルールで使用される公式な用語です。
- 規則 6.2には各ホールごとに第一打を打つためには図で示したエリア内にティーアップ、またはじかにボールを置いて打ち出すことと決められています。(ここをティーイングエリアと呼んで大丈夫です)
各プレーヤーはその日決めたカラーのティーマーカーから、図のように奥行き 2クラブレングスの仮想の目に見えない線で囲まれた長方形のエリア内で第一打を打たなければなりません。
スタンスがはみ出していてもボールがエリアに接していれば違反になりません。
※奥行きは約2.2m程度ですがあくまでも仮想の区域なので多少はアバウトになります。
さらに大事なルールとしては決められたエリア外でのショットをした場合、2打罰で正しい区域からの打ち直し(3打目)になります。
当然ティーマーカーのカラーの間違いなども同様です。
もうひとつ、ルール違反のティーペッグを使用した場合は競技失格となります。
ルール違反になるティーペグについて
このルールを確認するためには、ルールブックの用具規則のパート6=機器と他の用具 1. ティー (規則 6.2)を参照する必要があります。
①高さが4インチ(約101mm)以上のもの、
②デザインされた機器はプレーの線(アライメント)を示すことができるように製造されているものであってはなりません。
③球の動きに 不当に影響を与えるもの。(ブラシのようなもので製造されたものは無問題)
④ストロークする上でプレーヤーの援助となるもの。
注=時々見かけるひもで複数のティーペグを結んだものは微妙です、
その置き方がプレーのアライメントの補助的であるなら違反です。プレーヤーのストローク援助になるからですね。置き方が補助的でなければ問題ありません。
✅ 2024年現在、このひもで結ばれたティーペグの適合性の解釈はR&Aが適合、USGAは不適合と異なった解釈があります。
- いつものゴルフ仲間の時はついつい気を許してしまい、ルール違反を犯してしまうことがあります。その代表が「2打罰になるアドバイス」です。
⛔ このルールはティーイングエリアに限られていません。
規則 10.2「アドバイスと他の援助」に定められている禁止行為について紹介しましょう。
アドバイス(❌)と無問題(⭕)を一例です。
❌ アドバイスになるケース(つぶやくのも違反)
「風は右から来ているから、フェアウエイの右サイドを狙ったほうがいいよ」
「このホールはスライスを打つとOBになるから要注意だね」
「距離があるホールだからここはマン振りするべきだね」
「今使ったクラブは何番?」(答える側にも同じペナルティ)「左の林にだけは打ち込まないようにね」
「ちょっとティーが高いんじゃない?」
「体の向きが左すぎじゃん?」
「このパー3、6番アイアンじゃ届かないよ」
⭕ アドバイスにならないケース
「左のバンカー(または池)まで220ヤードですね」
「ティーイングエリアからはブラインドで見えませんが、右の斜面の奥に大きな池があります」
「右ドックレッグを突き抜けるとOBがあります」
「ピンポジションは右いっぱいですね」
「そこはティーイングエリアの中ではありませんよ」
このような周知の事実は問題外です。
ティーイングエリア以外では、例えば崖下や林に打つ込んだ時、「グリーンはこの方向でここから120ヤード」などと教えるのはアドバイスになりません。
このように同伴競技者のボールを一緒に捜したりピンやヤーデージ杭など距離に係わる情報を伝えてあげたりする行為は積極的で全く問題ありません。
よくあるケースは言った本人が助けあうつもりだったり、ただの軽い会話のつもりでも、その行為や会話の内容によっては間違いなくペナルティになるので注意が必要です。意味合いとしては意図的でないにしろ、相手を迷わせる不正行為になるという解釈です。
- 第1打は明確なOBでした。しかし確認するとティーを立てた場所がティーイングエリア外だったケースがあります。
上記のルールその1では、エリア外から打った場合は2打罰と紹介しました。したがってこのケースも2打罰で3打目の打ち直しになります。
ボールがOBゾーンに行きましたが、それが池でもOBでも関係なく、打ったこと自体イーカウントで2打罰のみになります。
⛔ つまりインプレーになっていないのでペナルティがつかないのですね。しかし打順は最後に回ります。
- 打順を間違えたのはルール違反ではなく、一種のマナー違反になるため特にペナルティはありません。
「失礼しました」と謝罪するだけでプレーは進行します。
ティーショットを打つ打順は、全ホールのスコアの良い順になります。同スコアはさらに前のホールにさかのぼる方法となります。
- 「空振りか素振りか、それが問題だ!」
初心者ならば珍しいケースではありませんね。松山英樹プロでも最初は空振りしたそうです。
空振りしたときは次が2打目になりますが、いくつかのバリエーションがありますので紹介します。
✅ ゴルフで微妙な裁定の代表といえば「素振りだったのか空振りだったのか?」かもしれません。それを知るのはスイングしたご本人のみ。
まさにゴルフが真摯なスポーツであるということが明々白々になるシーンです。
つまりスイングした本人が「素振りです」といえばペナルティーはつかず、ボールを打つ意思があったといえば「空振り」で次が2打目になります。
⛔ 素振り(打つ意思がない)でボールがティーから落ちたときは、もう一度ティーアップのやり直しが無罰でできます。インプレーのボールではないからですね。
ワッグルしている途中でティーから落ちたボールも同じ処置になります。
⛔ 打つ意思があってスイングしたらボールがティーからポロっと落ちたケース。
この時はそのまま第2打となります。このとき再度ティーアップすると2打罰になります。(誤所からのプレー)
⛔ 第1打がOBの場合の打ち直し(3打目)は救済措置として再度のティーアップが認められます。考え方としてまだインプレーの状態にないということなのです。(前進4打があるときは積極的に利用します)
せっかくゴルフを始めたなら、真摯でいつも正直なゴルファーになりたいよね。事実を曲げないように胆力を鍛えるべきだね。
- ゴルフの基本的ルールに「ライの改善禁止」があります。ボールの置かれた状況が悪いので芝生を寝かせたり、周囲をクラブで叩くような行為は禁止です。
しかし、ティーイングエリアでは例外です。それはまだインプレーのボールではないからです。
シューズで踏み固めてもクラブヘッドで叩いても問題ありません。
ティーイングエリアで注意すべきマナーを知るべし
2018年以前はゴルフルールの正式用語としてティーイングエリアのことを「ティーインググラウンド(ティーグラウンド)」と呼称していました。
とくにアウトインのスタートホールには次の組が待機していたり、途中進行が詰まった時など数組が溜まることがあります。
- 同伴者のプレーを見るときの立ち位置
なんといっても最重要課題は危険防止に関するマナーです。経験が浅くあまり危険なシーンに出くわしたことのない方は無頓着です。でも実際はデンジャラスなんですよ。
初心者は初めのころ、ボールの行き先をまっすぐ飛ぶものだと決めつけています。実際はそんなことありませんよ。当たり方によってどこへ飛ぶかわかりません。実際に打球事故は毎年起こっています。
要注意のチェックポイントは?
⛔ 打つ人の背後が一番安全です。後ろは都合が良いことに、ゴソゴソと音を出さない限り多少動いても打者の迷惑になりません。
⛔ 打者の顔が見える方向に立った時は、ボールがある位置より前(グリーン方向)に立たないことが重要です。ソケット(またはシャンク)と言って打球が90度前方に飛ぶことがあります。
⛔ 打者の真後ろ(右打者なら打球線右方向)に立ってはいけません。
これはティーイングエリアに限らず、すべてのケースで同じで、同伴者がスイングするときにグリーンとプレーヤーの延長線上に立つことは大きなマナー違反です。
特にティーイングエリアでは稀にボールどころかヘッドが抜けて飛んでくることがあります。
- プレーをするには誰かその日にプレーのお膳立てをするために苦労した方が必ずいるはずです。
当日直前でドタキャンするとか、当日のスタート時間に間に合わないという方はマナー違反です。
遅刻の大半はマナー以前の心がけの問題です。あらかじめスタート時間は分かっているので、最低10分くらい前には近くで待機するべきです。ちょっと離れたところで軽くストレッチなどして集中しましょう。
ドタキャンはプレーの料金にも関係します。ケースによっては3人になると割り増し料金が付加されます。これは迷惑ですね。
- 同伴者がアドレスに入ろうとしたら、その方の視界の中で動くのは禁止です。同伴者やキャディとの会話、独り言、咳払い、物音を立てるなどは非常に下品なマナー違反です。
特に携帯電話を使って会話するなど言語道断。その会話が周囲に聞こえるか聞こえないかは問題ではありません。
コース内での携帯使用は差し控えるべきです。また気の利かない行動でもたつくようなスロープレーは避けましょう。
自分の順番が来ても声をかけられるまで動かない方をたまに見ます。
あるいは自分の順番なのにやおらカートへクラブを取りに行ったり取り替えたり、あるいはティーを探したりボールを忘れていたりとかは無駄な時間で迷惑をかけます。
- 一日を楽しく過ごすためには「仲間と快適なシンクロを」。
アマチュアのゴルフは遠くまで出かけて楽しく過ごすために費やす時間なのは全員共通です。ティーショットのマナーとして同伴者のショットがとても良いと感じたら称賛の声は惜しまずにかけましょう。
緊張しているせいかどうかわかりませんが、常に無言でプレーする方はキモイといわれても仕方ありません。半日一緒に遊んでも楽しくなりませんからね。無理のない範囲で大丈夫ですから、ナイスショット!とか、ラブリー!、今日イチ!など声を出すと言った人も言われた側も気持ちが良いものです。
注意すべきはけっして褒められないショットにナイス!では嫌味になります。本当にいいなと思ったときだけで良いわけですね。
ゴルフのルールとエチケット~まとめ
初心者はゴルフを始め、ゴルフをマスターすることに集中するはずです。
最初のころ意外と忘れがちなことは「ひとつでもスコアを良くする、あるいは「スイングを完璧にすること」に偏りがちで、ゴルフ本来の品格という点を見過ごしがちになります。
ゴルフの基礎はエチケットの複雑さを理解することでもあります。スイング中の静寂、他のプレーヤーとの歩調を合わせること、ディボットやボールマークを修復すること、コース上での行動を解読すること、ドレスコードに従うこと、社会的責任を理解すること、これらすべてがゴルフの理念のもとにあります。
このいわばゴルフの精神は練習する時でさえ存在します。
あなたが用具を適切に扱い、不文律を遵守することでゴルフへの敬意も興味も深まるでしょう。
ゴルフを真に受け入れるには今回書かれている内容をよく理解し、謙虚に受け入れる必要があります。
初心者からベテランに至る道のりは長いかもしれませんが、経験した方は非常に充実した気分を味わえます。
ゴルフマナーの本質は、ゲーム、コース、仲間のプレーヤー、そして自分自身への敬意に根ざしていることを忘れないでください。初心者向けのゴルフエチケットに関することは今回の記事を読んだ方と読まないままだったことで歴然とした差が表れるでしょう。
ゴルフの伝統を守り一振り一振り、一打一打を積み上げていきましょう。
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