みなさんいかがお過ごしですか？
今回はタイガー・ウッズが発した「タイガー語録」の紹介です。
ゴルフ史上最も偉大なプレーヤーとして、タイガーほどゴルフファンを魅了した選手はいません。フォーブスは「アメリカ史上最も成功した現役で活躍するスポーツ選手」と評しました。ということは彼だけが到達した高みから見た景色はほかの人が知る由もないわけです。
様々なシーンでの「タイガー語録」にはとても惹かれます。タイガー語録は成功へのモチベーションを高めるものと評されています。
ご存じのようにデビューした当初のタイガーはとてもシャイでした。その華やかなルーキー時代、頭の中で何が起こっているかをあまり明らかにすることはめったになく、トーナメントの記者会見を除けばインタビューはほとんど行われない傾向にありました。
しかし彼は2009年に不倫発覚という事件以降一気にオープンになり、質問に真っ直ぐに答えるようになりました。そんな道筋をたどりながらタイガー語録をご堪能下さい。
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タイガー語録～なかでも忘れられないふたつの「ワード」
タイガー語録、まずは本名エルドリック・タイガー・ウッズ（Eldrick Tiger Woods、1975年12月30日生まれ）。メジャー優勝15回、トーナメント優勝回数82回、史上2人目のトリプルグランドスラム達成など栄光の数々という紹介から。
まさに神童誕生でした。
生後10か月から1歳のころ、父親のアールさん（ハンデ=０）は「この子は普通の子と何かが違う」と、ボールに対する目の動きと印象的なスイングから素質を感じとっていました。アールさんは彼に小さなクラブ一式を用意しました。
2歳のとき、彼のポテンシャルはすでに広く注目されており、伝説のコメディアンであるボブ・ホープと一緒にテレビ番組に招待され、彼はそのすばらしいスキルを披露したことがあります。
1996年にプロに転向するまでに6つのUSGAナショナルチャンピオンシップを獲得、前人未到の3年連続全米アマチュアタイトルを獲得。これはいまも“タイガーズ・トリプル”と呼ばれてよく知られています。
その後彼は名門スタンフォード大学に進みました。
ここからはそれ以後のゴルフ人生のなかで記録された「タイガー語録」です。
タイガー語録～「カブリナシアン」の血を引く男
いまでこそ「タイガー」と聞けば、”全方向から栄光に輝く人”に直訳されますが、じつはプロになったばかりのころ彼は大きな苦悩を抱えていました。それが人種差別です。デビュー当初の有色系プロゴルファーの環境は、今のファンが知る由もないほど厳しい環境にありました。
この当時のゴルフというと、伝統的に白人の中流階級のキリスト教徒（タイガー自身は形式的な仏教徒）が支配している的な印象がありました。タイガーが息子に「チャーリー」という名前を付けましたが由来をご存じですか？
そのことには人種に対する彼のメッセージが込められているのかもしれません。
「チャーリー」についてはこの段落の最後に書いておきます。
父親のアール・ウッズはアメリカ陸軍（特殊部隊・グリーンベレー）の中佐で、アフリカ系アメリカ人、中国（タイ系華僑）、ネイティブアメリカンの血を引いています。また母親のクルティダはタイ、中国、オランダ人の混血でした。
タイガーはこの混血は認めつつも、1997年にオプラ・ウィンフリーが語った「タイガーのことを人々が”アフリカ系アメリカ人”と決めつけた言い方をしている」というスピーチがとても気になったと話しています。
タイガーの言葉を借りれば「子供の頃、新しい人種の呼び方を考えました。それが”カブリナシアン（Cablinasian）”です。タイガーは自分が白人、黒人、インド人、アジア人の血を引くルーツを表現するのにこの造語を考え出したのです。
※公式の場では、タイガー自身自分のことをアジア系アメリカ人といいます。
プロに転向した翌年の1997年、ウッズはプロ初体験のメジャー大会であるマスターズを制覇。この時はまだ21歳で、マスターズの最年少優勝者であるだけでなく同時に有色人種として初めてチャンピオンに輝いたのです。
この時の米国ゴルフダイジェスト社の記事には「12打差、タイガー・ウッズ圧勝のマスターズ初制覇」という文字が躍っています。
そしてタイガー自身は「この勝利がマイノリティに何らかの扉を開くことになればいい。いつの日かお互いを人間として見ることができるようになって、誰もが肌の色に対する感性をなくすようになることを願っている」と語っています。当時がしのばれる記事です。
「Cablinasian」はそんな背景の中、タイガー自身がこの造語を通じて多様な人種的ルーツを表現するために作った言葉です。もちろん一般的な用語ではなく、タイガー独自の経験とアイデンティティを反映しているわけです。
具体的には、Caucasian（白人）、Black（黒人）、American Indian（アメリカ先住民）、およびAsian（アジア人）、そしてわずかにアフリカ系アメリカ人の要素を組み合わせています。
タイガーの息子「チャーリー・アクセル・ウッズ」の名前の由来それはタイガーが敬愛する初代の黒人ゴルファー、チャーリー・シフォードさんに因んだネーミングなのです。 
シフォードはキャディやコーチとして働きながら、自分の技術を磨いていきました。
1952年に黒人として初めてプロゴルフツアーに登録されましたが、彼は多くの差別や嫌がらせに直面しました。
ホテルに泊まれなかったり、食事を断られたり、脅迫されたりしました。
それでも彼は諦めずにゴルフを続けました。彼は6回のツアー優勝を果たし1961年には世界ゴルフ殿堂入りしました。
シフォードは、黒人ゴルファーの先駆者として、後世の多くの選手に影響を与えました。
2004年には黒人選手として初めて世界ゴルフ殿堂入り。11月にはオバマさんから大統領自由勲章を受けました。2011年、オハイオ州の病院で88歳の生涯を終えましたが彼の偉業は今も語り継がれています。
タイガー語録～「私はミダスタッチの男」
2004年、スウェーデンの政治家でラジオジャーナリストの娘である元モデルのエリン・ノルデグレンと結婚し、2007年に生まれた娘のサムと2009年に息子のチャーリーという2人の子供をもうけて人生は順風満帆でした。
そのころからタイガーが良く口にした言葉が「ミダスタッチ（Midas touch）です。日本ではあまり知られていないワードですね。
「Midas toch」は幸運な言葉。投資がうまくいく、何をやっても成功してお金が入る能力を意味する縁起の良い言葉です。
由来はギリシャ神話、ミダスはプリュギア（古代アナトリアの王国＝今のトルコ中央部）の王様。
ワインの神・ディオニューソス（ローマ神話で登場するバックス＝バッカスのこと）の父の命を救ったミダスは「手に触れるものすべてが黄金に代わるパワー」を授かりました。
なのでミダスタッチは本来とても縁起の良い言葉なのです。・・・が・・・。
波乱万丈の人生～「禍福（かふく）は糾（あざな）える縄の如し」
若いころのタイガーはこのフレーズをよくジョークで使いました。
しかし、タイガーの人生が暗転してからは別な意味で頻繁に口にするようになりました。つまりこの神話が持つ悲しい悲しいオチを逆手にとった「軽口と自虐的な使い方」をしたのです。
2009年不倫発覚、2017年アルコールもしくは薬物の影響下で運転した容疑で逮捕。タイガー自身は習慣的飲酒はしないので実際には飲酒ではなく、服用していた薬物の影響によるものだと判明。
その薬物がアヘン系鎮痛剤で非常に依存性の強い「バイコディン」であったことから騒動に拍車がかかったのです。そして2021年２月の交通事故などの連鎖が彼の心を変えたのかもしれません。
その神話をご紹介しましょう。
手に触れるもの、体に障ったものはすべて黄金に変わるなんて何とも羨ましい才覚ですよね。まるでタイガーの絶頂期のことのようです。
しかし話は最後まで聞かないといけません。
ミダス王は黄金パワーに大喜びしたのもつかの間、手にした食べ物も飲み物もあっという間に黄金に変わってしまうことで閉口します。つまり食べることも飲むこともできなくなってしまったわけです。
ミダス王は酒の神・ディオニューソス（英語圏ではBacchus）に、この忌まわしい能力を消し去るよう真剣に祈りました。
ディオニューソスは願いを叶えました。
ミダス王が忠告通り川に入ると水が砂金になり、ミダス王の能力はすべて失われました。
世の中には確かに「何をやっても上手くいく」運の強い人も存在し、若い時のタイガーはそこになぞらえたのかもしれません。
「Midas touch」は人生のなかで閃光のように短い間のこと、あまり有頂天になっていると、予期せぬ失敗や不運が起こってしまうという辛口のジョークを味付けしています。
タイガーウッズ語録～10 Tiger quotes”
ショットはショットにすぎない。それは僕がいままでいつもやってきた考え方だ。
難しいものも簡単なものもない。ゴルファーならそういうマインドセットを常に持っていなければいけない。
Golf Monthlyの独占インタビューで、ウッズは自分のゲームのメンタル面をこう紹介しています。タイガーがショットをどのように見ているかについての興味深い洞察を提供しています。
“A shot’s a shot and that’s the way I’ve always treated it. There really aren’t difficult ones or easy ones because they all count as a shot. That’s the mindset that you have to have.”
子供にスポーツを強制しないでください。私自身がそうでした。今日に至るまで父は私にゴルフを無理強いしたことはありません。
父はいつも話していました。大事なのは子どもの遊びたいという欲求であって、子どもに遊んでもらいたいという親の欲求ではないと。
タイガーが2006年にホイレークでの全英オープンで優勝したときの印象的な言葉です。父アールさんの死後、タイガーは初のメジャーチャンピオンシップタイトルを獲得しました。
「父がいなくて寂しい。彼がここに来て、これを目撃してくれたらよかったのに。彼は私がメジャーで勝利を収める瞬間を見るのが楽しみだった。今は父の笑顔が浮かんくる」。
Don’t force your kids into sports. I never was. To this day, my dad has never asked me to go play golf. I ask him. It’s the child’s desire to play that matters, not the parent’s desire to have the child play. Fun. Keep it fun.
もし、あなたが一つのことに対し”挑まなければ”、あるいは”トコトン努力しなかった”としたら。第１にあなたは納得のいく成果は得られない。第２にあなたはそれに値する人にはなれない。
ウッズはゴルフ殿堂入り（2020年3月11日）、翌年に何度も涙をぬぐいながらの感情的なスピーチを行いました。
壇上でタイガーは幼い頃から両親が教えてくれた人生の教訓について切々と語りました。
「世界殿堂入りは名誉であり身に余る光栄に思う。
この1年は本当に驚くべき道のりだった。家族や友人、ファンから受けたサポートには圧倒される思いだった。今回の成果はあきらめず、追い求め続けたことへの究極的な評価だと感じている」とコメントしています。
“If you don’t go out there and put in the work, if you don’t go out there and put in the effort, one – you’re not going to get the results, and two, you don’t deserve them.”
失敗しても大丈夫です。”失敗”があなたの人格を傷つけることはありません。
むしろ失敗に対してどのように反応するかです。倒れて汚れたままでいますか？それとも埃を払って立ち上がり、次には強くなって戻ってきますか?
少し時間がかかるかもしれないが、再起したあなたは最終的に勝つことができるのです。
ゴルフに近道はないし、人生にも近道はない。あなたはそのために働かなければなりません。
だからこそ大きな夢を持ち、自分の夢を持ち続けてください。
なぜなら、あなたが見ている夢はあなたが他の人からリードをとれるものだからです。夢をあきらめれば希望も消えます。そして、希望がなければあなたはありきたりの人になります。
It’s ok to fail. Failing does not shape your personality; it’s how you react upon your failure. Do you dust yourself off and mope or do you dust yourself off and come back stronger the next time? Eventually you will win. It may not happen the next time, it may take a little time but you will win in the end.
私は決して才能に恵まれていたわけではありません。そのことを人々は少し誤解しています。
私は最初から一番大きかったわけでもなく、決して最速ではありませんでした。私が最強ではなかったのです。
私が持っていたのは私独自の倫理だけで、それが私をここまで導いてくれたのです。
＜別な機会の語った言葉＞
才能は生まれつきのものであり、スキルは開発するものです。ゴルフで成功するために必要なことの99%はスキルです。
タイガー・ウッズが語るハードワークの重要性もちろん、このアメリカ人選手には天賦の才能も備わっているが、彼は自分のプレーを最大限に活用するためにどれだけの努力をしなければならなかったかについて常に語っている。（ゴルフ雑誌記者）
“People don’t understand that when I grew up, I was never the most talented. I was never the biggest. I was never the fastest. I certainly was never the strongest. The only thing I had was my work ethic, and that’s been what has gotten me this far.”
これは私にとってとても大きな意味がありました。ここでキャリアグランドスラムを達成しました。当時、私は4大大会すべてで勝利を記録した。ですから、私にとっては大きな意味がありました。この会場は私にとって忘れられない場所です。
ウッズは、お気に入りのゴルフコースであるセントアンドリュースについて何年も同様に語っています。
これらの言葉は2022年にゴルフの本場で開催される第150回全英オープン選手権前の記者会見からの引用です。
“This has meant so much to me. This is where I completed the career grand slam. At the time I had the record in scoring in all four major championships. So it meant a lot to me. This venue has meant a lot.”
トレーニングは緊迫感のなかで必死に行うこと。そうすれば本番では（気持ちにゆとりができるので）楽に戦うことができる」
これは、グリーンベレーとしてベトナムに従軍したアール・ウッズが息子のタイガーに伝えた軍のマントラです。現在、タイガーはその言葉のままたくさんの子供たちにゴルフを指導しています。
要するに戦闘状況に対処しやすくするためには、厳しい訓練と十分な準備が重要だと強調しています。「練習は厳しく本番では楽しむ」、ウッズはこのマントラを自分のゴルフゲームに当てはめていると言えるかもしれません。
“Train hard. Fight easy.” It’s a military mantra that Earl Woods, who served in Vietnam as a Green Beret, passed to his son, Tiger. Now, Tiger uses it to inspire his children in their own athletic endeavors.
「まだゲームがある。体がそれをできるかどうかです」
＜もう一つの表現＞
目標を高く設定し、それを達成しようとすることは悪いことではありません。そこが面白いところです。目標に届いていないことはたくさんありますが、目標を達成しようと励むのはいつでも楽しいことです。
12月に行われた2023年ヒーロー・ワールド・チャレンジでケガから復帰したウッズは、4月のマスターズを欠場して以来、初めて公式戦に出場しました。
ウッズがプレーする限り、彼が周囲の期待から除外されることは決してないでしょう。この選手は、キャリアを脅かすような怪我を何度も受けたにもかかわらず、多くのゴルフファンを落胆させるどころかそれを（ZOZO Champion shipのように）逆転させてきたのです。
“I still have game. It’s whether or not the body can do it.”
父が私に教えてくれたことの1つは、チャーリー・シフォード（上の記事にも紹介しています）と同じ時代に育った環境についてです。
私はいつもなぜ息子の名前をチャーリーと名付けたかを話しています。息子には”チャンスを与えられるには人の2倍の実力が必要だ”と教えています。
2022年の世界ゴルフ殿堂入り式典で、家族の前で涙をこらえるのに苦労したウッズの感動的なスピーチから。
“One of the things that Dad had instilled in me is that he grew up in an era, same era as Charlie Sifford [the first Black golfer to play on the PGA Tour] and why my son is named after Charlie, is that you had to be twice as good to be given half a chance.”
メジャー大会で優勝するのがどんなものか。
それは彼らが決して忘れないものになるからです。
ウッズは2019年に久々のメジャー大会（マスターズ）をホールアウトしました。そして2005年大会以来14年ぶり5度目の優勝、米ツアー通算81勝目を挙げたのです。14年間はほとんどの人から見放されていましたが、オーガスタナショナルで2人の子供、チャーリーとサムの前で15回目のメジャータイトルを獲得しました。
“To see what it’s like to have their dad win a Major Championship, I hope that’s something they will never forget.”
Tiger surprises college golfers during @BridgestoneGolf shoot!@TigerWoods offered insight on how he prepares for a tournament, including 1,000 golf shots EVERY day.
— PGA TOUR (@PGATOUR) November 27, 2023
(Presented by @Bridgestone) pic.twitter.com/gltxDOWnup
タイガー・ウッズ～光と影「虎の言葉」まとめ
事の発端は2009年11月、ウッズがフロリダの私道からスピードを上げて飛び出し、消火栓に衝突し、隣人の木に突っ込んだとき、ウッズが車に乗っていたという話から始まりました。
その後、数日、数週間のうちに、世界は彼が妻を騙していたことを知りました。誇り高きチャンピオンも実際には欠陥のある人物だったことを知りました。
彼はゴルフから離れリハビリ施設に通いました。2010年2月、彼は14分間のテレビ演説を行いその中で「無責任で利己的な行動」について謝罪しました。タイガーとエリンは最終的に離婚しました。
揺れ動くタイガーの心～何度か訪れた人生の転機
2019年のオーガスタでマスターズを獲ったとき、2人の子供が見守る中、彼はそれを「人生がぐるっと一回りした感じだ」と表現しました。「私の父は1997年にここにいて私を祝福してくれた。今は私の勝利を待っていた2人の子供を持つ父親です」と語っていました。
タイガーはこの勝利を、2013年から2017年にかけてわずか24試合の出場にとどまった背中の問題を抱えていたため、「最も難しいものの一つ」だったと表現しました。
過去に多くの障害から立ち直ってきた男が大きな自動車事故の後、ベン・ホーガンのように奇跡的なPGA復帰を果たしましたね。
彼の人生のさまざまな局面での「タイガー語録」は感慨深いものになっています。
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