みなさんいかがお過ごしですか?
コーヒーがないと生きていけない(?)コーヒー大好き人間の筆者ですが、最近気になる見出しに心がザワついています。それが「コーヒーの2050年問題」です。
一日の仕事が始まると休む暇も惜しんで働くことがあります。緊張感がピークに達するとホッと一息入れたくなりますよね。そんなときは1杯のコーヒーが心を和ませてくれます。
昨今の地球の気候変動は、庶民からそんなささやかな楽しみさえ奪おうとしているんですよ。
今日は「コーヒー」の気になる話題です。
コーヒーがピンチ!2050年問題ってなんだろう?
後ほど紹介しますが、コーヒーは脳の活性化や胃の働きの増進など健康向上に役立つ成分が入っています。とくにコーヒーに限った話ではありませんが「過ぎたるは及ばざるが如し」で、飲む量の程度を弁えさえすればメンタル面も含めてこんな素晴らしい飲み物もほかにありません。
わかっている人はわかっています、あの例えようもないエモーショナルな香り、違う世界に引き込まれそうな口中に広がる苦みと、この安らぎの両面攻撃を受けると気分はいやでも癒されます。
さらにコーヒーの良いところは季節を問わず飲めるのもうれしいかぎりです。
・・・と言いたかったのですが、ここで指がキーボードを離れてしまいました。
地球温暖化が主たる原因で、2050年にはコーヒー産地を取り巻く状況がピンチに陥ることが懸念から現実になりつつあるのです。
コーヒーを生産する環境は温暖化の影響を受けて・・・
2006年の「不都合な真実」という映画を思い出します。
アメリカ副大統領だったアル・ゴアさんは自身が出演した映画で地球温暖化の危機を訴えましたね。
当時のブッシュ政権は「空想の産物」という公式見解を出しました。そんな話は荒唐無稽だと感じたたくさんのアメリカ人たちは「上映差し止め訴訟」まで起こしましたね。
今思えばあの時から本気で取り組めば、今の状況はこれほど悪くならなかったかもしれません。
あれから17年、温暖化は「異常気象」を「通常気象」に変えてしまいました。コーヒーもしかり、気まぐれな気候変動の直接攻撃を受けています。そこに人口増加が被ったので2050年問題が勃発したわけです。
コーヒーの生産に関わる豆知識
コーヒーは世界中で愛飲されている飲み物です。でもコーヒーの性質は気候変動の影響を非常に受けやすい作物です。
コーヒーはざっくり分けてアラビカ種とロブスタ種で大半を占めます。
品質や風味で比べると圧倒的に優れているのがアラビカ種です。喫茶店のほとんどはアラビカ産を使っています。価格的にもちょっと高い。
しかしアラビカは高温や乾燥に弱く、雨期と乾期のリズムが狂い多湿化することで病害虫の大量発生を引き起こし大幅な生産縮小リスクを引き起こします。
これらの影響はストレートに品質の低下や生産量の減少につながります。つまりコーヒーの栽培に適した土地が減少し収穫量や品質が低下するわけです。
すでに産地の一部は山の上へ上へと移動しています。このままいくとアラビカ種に限れば十数年で栽培に適した土地は半分になるかもしれません。
これはアラビカ種の生産量が現在の半分以下になるという意味で、結果的にコーヒーの需要が増加する一方で供給不足を引き起こし、コーヒー価格は高騰し消費者だけでなく生産者や流通業者も大きな打撃を受けることになります。
世界のコーヒーベルトってナニ?
コーヒーベルトとは、地図上の北緯25度〜南緯25度の間に広がる「コーヒーの生産国が位置する熱帯エリア」を意味します。ブラジルやインドネシアをはじめとするコーヒー生産国はすべてこのコーヒーベルト上に点在しています。
前述のようにコーヒー豆はアラビカ種とロブスタ種の2種類が主流ですが、それぞれ栽培に適した気候や高度があります。
アラビカ種は高温多湿で冷涼な気候を好み、標高800〜2,000メートルの山岳地帯を好み、ロブスタ種は低温乾燥で暑い気候が適していて標高200〜800メートルの平野地帯で栽培されます。
コーヒーベルトは、これらの条件がそろった地域であり、コーヒー豆の品質や風味にも大きな影響を与えます。
たとえば酸味や苦味、香りやボディなどの特徴が異なります。
ブラジル産のコーヒー豆は甘みと苦味がバランスよく、ナッツやチョコレートのような香りがあります。一方エチオピア産のコーヒー豆は酸味とフルーティーな香りが強く、ベリーや柑橘系のような風味があります。
主なコーヒー生産国の紹介
現在、コーヒーを生産している国は世界に60数カ国。その中でも、特に注目すべきコーヒー生産国を5つ紹介します。
☕ 生産量1位~ブラジル産のコーヒーの特徴ブラジルの広大な土地の大半がコーヒーベルトの範囲に入っており、世界のコーヒー全体の約30%を占める圧倒的なコーヒー生産国です。
ブラジルではアラビカ種とロブスタ種の両方が栽培されており、様々な品質や風味のコーヒー豆が出荷されています。
ブラジル産のコーヒー豆は、ミルクと相性が良いため、エスプレッソやカフェラテなどによく使われます。バランスの良い味わいと香ばしい香りが特徴で、エスプレッソやブレンドによく使われます。
☕ 生産量2位~ベトナム産コーヒーの特徴ベトナムで生産されるコーヒーは世界の生産量全体の約20%を占めています。
ベトナムではロブスタ種が主に栽培されており、安価で苦味が強いコーヒー豆が多く出荷されています。ベトナム産のコーヒー豆は、練乳と一緒に飲むベトナムコーヒーや、インスタントコーヒーなどによく使われます。
☕ 生産量3位~コロンビア産コーヒーの特徴コロンビアは、世界のコーヒー生産量全体の約8%を占める生産国です。
コロンビアでは、アラビカ種が主に栽培されており、高品質でバランスの良いコーヒー豆が多く出荷されています。
コロンビア産のコーヒー豆はフルーティーな香りや酸味が特徴で、ドリップコーヒーやアメリカンなどによく使われます。
インドネシア産のコーヒーは世界全体の約6%を占めています。
インドネシアでは、アラビカ種とロブスタ種の両方が栽培されており、独特な製法であるウェットハル方式で加工されたコーヒー豆が多く出荷されています。
インドネシア産のコーヒー豆は、重厚な香りや苦味が特徴で、エスプレッソやマキアートなどによく使われます。
エチオピアはコーヒー発祥の地と言われており、世界最古のコーヒー文化を持つ国です。そもそもアラビカコーヒーの主力品種はエチオピアが原産地といわれています。
エチオピアでは、コーヒーが古くから生活に密着した飲み物として親しまれてきました。例えば、エチオピア南西部のオロモ族は、コーヒーと大麦をバターで炒める「コーヒーつぶし」という儀式を行っています。いまでもコーヒーの葉を使った飲み物も日常愛飲されています。
エチオピアは世界第7位のコーヒー生産国でありアフリカでは1位です。生産された半分を国内で消費してしまい、みなさん日常でもたくさんコーヒーを飲みます。
エチオピアのコーヒー豆は、生産地や品種、グレードや生産方法によってさまざまな特徴があります。一般的には、フルーティーで華やかな香りや酸味が特徴的ですが、中にはモカやチョコレートのような風味のものもあります。
エチオピアのコーヒー豆はグレードによってQ1からQ9まであり、Q1が最高品質でQ9が最低品質です。生産方法は、ナチュラル(乾燥)法とウォッシュド(水洗)法があります。ナチュラル法は、果実ごと天日干しにする方法で、フルーティーな香りや甘みが強くなります。ウォッシュド法とは果肉を取り除いて水洗いする方法です。
以上が、世界のコーヒー豆の生産量国別ランキング1~4位+ワンです。それぞれの国によって異なる特徴や魅力を持つコーヒー豆を知って、もっとコーヒーを楽しみましょう!
コーヒーと「健康」の関係
カフェインとかポリフェノールという有効成分の名前を聞いたことがあるでしょう。これらは単独でもほかの要素との相互作用によっても人間の健康に貢献します。
☕ 脳の活性化=コーヒーにはカフェインが含まれていて、交感神経を刺激し眠気が覚める覚醒作用と集中力に効果があります。
車の長距離運転するときは時折サービスエリアでコーヒーなど召し上がってください。
☕ さらにコーヒーに含まれているクロロゲン酸類には、認知機能を向上させて注意力の低下を防ぐ効果があり、アルツハイマー型の認知症にかかるリスクが低下したという研究もあります。
☕リラクゼーション=コーヒーには何とも言えない香りがあります。
♬ 昔アラブの偉いお坊さんが・・、恋を忘れた哀れな男に・・しびれるような香りいっぱいの・・琥珀色した飲み物・・教えてあげました・・(コーヒールンバ)
コーヒーの香りは独特でとても素敵な感覚にさせます。す~~っと鼻から入って脳に届きすぐに前頭葉を刺激します。銘柄によってはα波がでて素直にリラックスできたり刺激を与えて頭の回転をよくします。まるで機械に油を差すようにですね。
コーヒーを飲むときは、味だけでなくあなたのそのときの気分に合わせてブランド選びをしてみるのもまた楽しからずや。
☕ 胃の働きをよくする効果=コーヒーには「クロロゲン酸」というポリフェノールが含まれています。この成分は胃酸の分泌を促します。
最近は「胃酸が足りない!」というキャッチフレーズでよく売れている健康薬品があるように、現代人は胃酸で悩んでいる人がたくさんいます。
胃酸は消化を助けてくれるので、食後にコーヒーを飲むと効果があります。逆に空腹時は胃の粘膜を刺激して荒らす恐れがあるので、すこし控えめにするべきです。そんなときはミルクを加えたりお菓子を一緒に召し上がったりすると胃の保護の効果があります。
蛇足ですが「カフェイン」はコーヒーだけに含まれる成分ではありません。緑茶や紅茶、一部の清涼飲料水にも含まれていて、エナジードリンクのようにド~~ンと団体で入っている飲み物もあります。
コーヒーの2050年問題のまとめ
筆者は2003年から10年ほどネパールの森林保護のボランティア団体を運営していました。資金の大半はあの当時始まった「旧郵政省・ボランティア貯金配分金」でした。立ち上げたときはNGOでしたが3年後にNPOの認定を受けることができました。
世界でも最下位に近い年収の農家さんをどう救おうか日夜考えたものです。とにかく医療にかけるお金も、子供を学校に行かせることもできない家庭が大半でした。「貧困問題」は目に見えにくいのです。
そこで植林の傍らコーヒーの生産を手がけました。そこそこの成果を上げましたね。
現地の農家さんの視察は大変な作業でした。とにかく山の中腹に家があったのでその上り下りの苦労が思い出されます。
ネパールにも姉妹NGOを作りましたが、非常に強力な味方が加わってくれずいぶん幅広く活動しました。
このNGOは若手が引き継ぎ、NPOとしていまでも活動が続いています。
あの頃を思うと熾烈な環境の中で協力してくれたたくさんの人たちとの貴重な思い出です。
危機を救うために必要なこと
では、どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?私は以下の三つの対策を提案します。
- コーヒーの適応力を高める
コーヒーの適応力とは、気候変動に対して耐えられる能力のことです。適応力を高めるためには、品種改良や栽培方法の工夫が必要です。例えば、病気や乾燥に強い品種を開発したり、樹木や作物を混植して日陰を作ったりすることで、コーヒーのストレスを軽減できます。 - コーヒーの生産地域を拡大する
コーヒーの生産地域とは、コーヒーが栽培できる気候条件を満たす地域のことです。地球温暖化によって、従来の生産地域ではコーヒーが育たなくなる可能性があります。その場合、より高地や高緯度の地域に生産地域を移すことで、コーヒーの供給量を維持できます。 - コーヒーの消費量を安定させる
コーヒーの需要と供給のバランスをできる範囲で改善することが大事です。コーヒーの消費量を安定させることは地球温暖化自体を防ぐことにもつながります。
私たちは一杯一杯のコーヒーに感謝しながら、味わいながらそして無駄なく飲むことが大切なんですね。
気になる見出し・コメント欄